夏の真っ只中に訪れる「立秋(りっしゅう)」。カレンダーを見て「え、もう秋なの?」と驚いたこと、ありませんか?気温はまだまだ高いし、セミの声も元気いっぱい。でも、日本の暦では、立秋を境に季節は秋へと向かい始めるんです。季節の移り変わりを肌で感じにくくなった現代だからこそ、こうした節目を意識することで、日々の暮らしにも丁寧さやゆとりが生まれるかもしれません。
この記事では、「立秋」の本来の意味や過ごし方、暮らしに取り入れるアイデアを、日々忙しいあなたにも実践しやすい形でご紹介します。「季節の区切りなんて関係ない」と思っている人にこそ、読んでほしい。小さな秋の兆しに気づくことで、少しだけ心が整ったり、生活が潤ったりするかもしれませんよ。
立秋とは?季節の区切りとしての意味
二十四節気の中での立秋の位置づけ
「立秋」は、二十四節気のひとつで、毎年8月7日ごろにやってきます。暦の上ではこの日から秋。つまり、「暑中見舞い」は立秋の前までで、それ以降は「残暑見舞い」になるって知っていましたか?
とはいえ、日本の夏は本当に長い…。立秋が過ぎても、まだまだ猛暑日が続きます。でも、それでいいんです。立秋とは、あくまで“秋の気配が立ちはじめる”という意味。空の色、風の匂い、朝夕の涼しさ…そんな微妙な変化に気づける心の余裕をくれるのが立秋なんですね。
昔の人が感じていた「秋の始まり」
昔の日本人は、自然のほんの小さな変化にも敏感でした。例えば、空の雲が入道雲から筋雲に変わったとき、ヒグラシやコオロギの声が聞こえ始めたとき、風に少しだけ涼しさを感じたとき。

そんな一瞬一瞬を「秋の始まり」と捉えて、暮らしのリズムや食事、服装を少しずつ変えていったんです。私たちも、そんな“季節とともに暮らす感覚”を、立秋をきっかけに取り戻せるかもしれません。
暦に寄り添う暮らしのヒント
残暑の中にも「秋」を感じる工夫
立秋が過ぎても、まだクーラーが手放せない日が続きますよね。でも、たとえばこんな工夫で、秋の気配をほんのり感じられます。
- 食卓に「秋色」を取り入れてみる(ナス、かぼちゃ、いちじくなど)
- 和菓子屋さんの店頭で「秋」を探してみる(栗きんとん、月見団子…)
- アロマやお香で“秋っぽい香り”を楽しむ(白檀、柚子、シナモンなど)
小さなことでも、五感が「秋だなぁ」と感じるだけで、気分が少し整います。日々の疲れも、ふっと軽くなるかもしれません。
手紙や挨拶にも「季節のことば」を
メールやLINEが主流になった今でも、手書きの手紙や暑中見舞い・残暑見舞いを出す人は少なくありません。立秋を過ぎたら、「残暑お見舞い申し上げます」が正解。

ちょっとした挨拶にも「秋の訪れに心が和みますね」「朝夕に秋の気配を感じます」なんて言葉を添えるだけで、受け取った相手もほっとするもの。季節感って、思った以上に人の心を動かすんです。
子どもと一緒に感じる季節の移ろい
自然観察を通して秋を見つけよう
小さなお子さんがいる家庭では、「立秋」は絶好の“自然観察チャンス”でもあります。例えばこんな遊びはいかが?
- 夕方の風の変化を一緒に感じてみる
- 公園の虫の鳴き声を録音して聞き比べ
- 草むらに咲いている「秋の草花」を探す冒険ごっこ
夏休み中の自由研究にもピッタリ。大人が「まだ夏だし」と思ってしまう時期でも、子どもの感性は驚くほど素直で鋭いんです。きっと、「あ、セミよりコオロギが多くなってきたね」なんて言い出すかもしれませんよ。
季節の絵本や詩を楽しむ時間を
「立秋」をきっかけに、読書タイムを秋仕様に切り替えるのもおすすめです。季節を感じる絵本や、自然をうたった詩を一緒に読む時間は、子どもにとっても親にとっても心の栄養になります。
たとえば、
- 『こおろぎのうた』(かがくのとも傑作集)https://amzn.to/4f7dm8K
- 『あきがいっぱい』(福音館書店)https://amzn.to/3GHJ3Ji
などは、立秋の頃にぴったりの作品です。
忙しい毎日でも「立秋」を楽しむには?
スマホで“秋の兆し”を記録してみる
ふだんからInstagramやスマホのカメラを使っている人は、8月に入ったら「#立秋の風景」とか「#夏の終わり」なんてタグで、自分なりの“秋の兆し”を記録してみるのも楽しいですよ。
朝の雲、夕暮れの空、落ち葉、秋らしい風景を見つけるたびに撮っておけば、自分だけの季節アルバムが完成。あとで見返すと「そういえば、あの頃から秋が始まってたんだなぁ」としみじみ感じられます。
立秋を“リセットのきっかけ”にしてみる
夏の疲れが出てきて、なんとなく気持ちもダウンしやすいこの時期。立秋をきっかけに、ちょっとだけ生活を整えてみるのもおすすめです。
- 寝具を涼感から軽めの綿素材にチェンジ
- 食事に秋野菜を取り入れて体を労わる
- 1日5分だけでも深呼吸の時間をとる
大きな変化は無理でも、少しだけペースを落として“秋仕様”にシフトしていく。それだけで、心と体がぐっとラクになること、ありますよ。
まとめ
暦の上では秋。まだまだ暑さは続くけれど、立秋をきっかけに「季節の変わり目」を意識して暮らしてみると、見える景色がちょっと変わってきます。自然の移ろいに心を向けて、日々を少し丁寧に過ごすだけで、気持ちにもゆとりが生まれます。
とくに子育て中や忙しい日々を送っていると、「今がいつなのか」すら分からなくなることってありますよね。でもそんなときこそ、季節の節目は“ちょっと立ち止まるチャンス”でもあります。
立秋という言葉が、あなたにとってただの暦の一部ではなく、「自分と季節をつなぐ合図」になりますように。次の季節へ、やさしく歩き出せますように。