毎年のように異常気象が話題になる中、最近じわじわと注目を集めているのが「蝗(いなご)」の大量発生。かつては秋の味覚として親しまれていた蝗も、地球温暖化や環境変化の影響で、私たちの生活に思わぬインパクトを与える存在になりつつあります。
この記事では、「蝗」という少しマニアックだけど今こそ注目したいテーマにフォーカスし、季節の移ろいの中でどんな意味を持つのか、私たちの暮らしにどんな影響を及ぼすのかを掘り下げてみます。
- 蝗が現れる時期に見る季節の変化
- 突然の大量発生、その背景にある地球環境の変化
- 実はおいしい?伝統食としての蝗
- 未来の食糧問題と蝗のポテンシャル
…などなど、読んだあとには「えっ、蝗ってそんな存在だったの!?」と、きっとあなたの中で何かが変わるはず。ちょっと不思議で、でもどこか身近な“虫たち”の世界、一緒にのぞいてみませんか?
蝗と季節:秋に現れる小さな来訪者
蝗が見られる季節とその意味
蝗(いなご)は日本では主に初秋から晩秋にかけて姿を見せる昆虫。稲の収穫期と重なることから、田んぼ周辺でよく見かけます。かつては「秋の風物詩」として親しまれ、子どもたちが虫取り網を持って追いかける姿も珍しくありませんでした。
この時期に蝗が現れるのは、稲刈り前後の田んぼに餌が豊富にあるから。蝗の登場は、季節が夏から秋へ移る合図のようでもあります。
昆虫から感じる“季節の温度”
蝗の数が多い年は「夏が長かった証拠」なんて言われることもあります。実際に、暑さが続く年は蝗の孵化や成長が早まり、大量発生しやすくなるのだとか。小さな虫の動きに、季節の深まりや気候の変化が表れているのって、なんだかロマンがありますよね。
異常気象と蝗の大量発生がもたらす影響
2020年のアフリカで起きた蝗災
世界を見てみると、2020年にアフリカや中東で大規模な蝗の大量発生がありました。何億匹という蝗の群れが農作物を食い尽くし、深刻な食糧危機を引き起こした出来事は、記憶に新しいという方も多いかもしれません。
この蝗災の背景には、気候変動による異常な降雨や気温の変化があったとされています。
- Desert Locust Plague 2020: A Threat to Food Security
アフリカ東部で起きた蝗災害の全貌や、その影響を詳しく伝える英語記事です。
FoodUnfolded – Desert Locust Plague 2020: A Threat to Food Security en.wikipedia.org+6tandfonline.com+6axios.com+6en.wikipedia.org+14foodunfolded.com+14time.com+14 - **The other plague: Locusts are devouring crops in East Africa and the Middle East**
コロナ禍と重なり、数十億匹規模となった蝗の群れが広範囲で農作物を襲う様子を解説します。
[Vox – The other plague: Locusts are devouring crops…] apnews.com+8vox.com+8carbonbrief.org+8 - **Millions in Africa face starvation as huge locust swarms descend**
世界経済フォーラム(WEF)による報告で、蝗災が深刻な飢餓問題を引き起こしている現状を伝えます。
[World Economic Forum – Millions in Africa face starvation…] weforum.org+1vox.com+1
日本にも起こりうる?地球温暖化の影響
「いや、日本ではそこまで大規模な蝗被害は起きてないし…」と安心するのはちょっと早いかも。実はここ数年、日本でも東北や関東の一部地域で局地的な蝗の大量発生が確認されています。温暖化によって蝗の繁殖環境が変われば、これまで考えられなかったような影響が出る可能性も。
農業への打撃とその対策
蝗は稲だけでなく、トウモロコシや野菜類などさまざまな作物を食害します。農家さんにとっては、蝗の大量発生は深刻な被害につながる可能性も。現在はドローンやAIを活用した監視・駆除の研究も進んでいて、自然との共生の在り方が問われています。
蝗って実は美味しい!? 伝統食としての魅力
いなごの佃煮、食べたことある?
昔から信州地方などでは「いなごの佃煮」が家庭の味として親しまれてきました。ピカピカに甘辛く煮詰められた佃煮は、見た目にちょっとドキッとするけど、食べてみると意外とクセがなく、香ばしくて美味しい!
筆者も小学生のとき、長野の親戚の家で人生初いなごに挑戦。あのパリパリとした食感と、口の中に広がるタレの甘さは、いまだに記憶に残ってます。

栄養価も高いスーパーフード
実は蝗って、タンパク質が豊富で脂質も少なく、まさに高栄養のヘルシーフード。近年では“昆虫食”が注目される中で、伝統的な「いなご」は再評価されています。
昆虫食の未来といなごの可能性
将来的に人口が増え、家畜が足りなくなるかもしれないという予測もある中で、昆虫食は有力な選択肢の一つ。いなごはその中でも比較的食べやすく、実績のある存在なんです。
蝗と共に生きるこれからの私たち
「駆除」だけじゃなく「共存」へ
蝗を「害虫」としてだけでなく、「自然の一部」としてとらえ直すことも大切。環境と調和しながら、適切に管理し、時には“食”として取り入れる。そんな柔軟な発想が、これからの時代には求められていくのかもしれません。
子どもたちへの自然教育にも
いなごを通じて、自然や農業、食のつながりを学ぶ教育プログラムも各地で広がっています。虫を苦手に感じる子どもも多いですが、「知る」ことで距離が縮まることもありますよね。

まとめ
秋風とともに、蝗との再会を楽しむ季節へ
蝗という存在は、小さくて、見逃してしまいそうだけど、実は私たちの季節感や食文化、さらには未来の社会構造にまでつながる、奥深いテーマです。
自然とのつながりが薄れてきている今だからこそ、「蝗」という身近な昆虫に目を向けてみることが、季節を感じ、自然と共に生きる第一歩になるかもしれません。
この秋は、稲穂の波間にひそむ蝗たちにちょっとだけ注目してみてください。そして、もし機会があれば、「いなごの佃煮」にも一口チャレンジしてみては?
虫嫌いだった私も、「こんなに深い世界があったんだ…!」と驚いたように、きっとあなたの中にも新しい発見が生まれるはずです。