秋の訪れを五感で感じる季節――空気が澄み、木々が色づき、虫たちの声が静かに響くなか、もうひとつ耳をすませば、どこか懐かしく、温かい「カランコロン」という音が聞こえてくることがあります。それは、古来より日本人の生活に寄り添ってきた『鳴子(なるこ)』の音色。
「えっ?鳴子って、鳥追いの道具じゃないの?」と驚かれるかもしれません。でも実は、鳴子は今、再注目されている日本の“音”文化のひとつ。よさこい踊りや、癒しグッズ、そして東北の温泉地・鳴子温泉郷にまつわる風物詩としても愛されています。
この記事では、「鳴子」が秋という季節とどんなふうに結びついているのか、その魅力をたっぷりとお伝えします。音に癒されたいあなた、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
鳴子ってなに?──日本古来の“音”の道具
鳴子の起源と役割
「鳴子」とは、もともと鳥や獣を追い払うために使われていた道具で、竹や木を組んで風や動きでカランコロンと音を鳴らす仕組み。古代では稲を守るために田畑の周りに吊るして使われていました。
田園風景に溶け込む鳴子の音は、どこかほっとする、まさに日本の原風景そのもの。現代ではあまり見かけなくなったけれど、その懐かしい音色は、心を癒す音として再注目されています。
秋になると鳴子が恋しくなる理由
秋は「音」が映える季節。虫の声、落ち葉を踏む音、そして風に揺れる鳴子の音…。空気が乾いていて、音がクリアに伝わるからこそ、鳴子の「カラン」という音も一層心地よく響くんです。
よさこい踊りと鳴子──元気と躍動の音色
鳴子=よさこい?現代の新たな役割
今や「鳴子」と聞いて思い浮かべる人も多いのが、よさこい祭り。高知発祥のこの踊りでは、踊り手が手に鳴子を持ち、「カチカチッ」と鳴らしながら力強く舞う姿が印象的ですよね。
秋のよさこいイベントや地域のお祭りでは、色とりどりの衣装とともに、鳴子のリズミカルな音が季節の風物詩に。鳴子はただの道具ではなく、エネルギーや一体感を生むアイコンとしても愛されているんです。

鳴子を持って踊ると心が弾む
実際に鳴子を持ってリズムを刻んでみると、不思議とテンションが上がるんです。軽い振動と「カチッ」という音が、心と体を自然と動かしてくれる。子どもから大人まで楽しめるシンプルな道具だから、地域の秋祭りや学校行事でもよく使われています。
鳴子温泉の秋旅──音と紅葉の癒し空間
鳴子温泉郷ってどんなところ?
宮城県大崎市にある「鳴子温泉郷」は、なんと1000年以上の歴史を持つ温泉地。5つの温泉地からなる広大なエリアで、特に秋の紅葉シーズンは絶景の宝庫!

渓谷沿いに広がる色とりどりの紅葉と、湯けむりの風景は、それだけで心が洗われるような美しさです。
鳴子という名前の由来
実は「鳴子温泉」の名前も、鳴子の音にちなんでいるとも言われています。昔、温泉の湧き口に鳴子を設置して安全を知らせていたとか、温泉の湯音が鳴子のようだったとか、いくつかの説があります。
そんな風に、土地の名にまでなっている鳴子。秋に訪れると、その“音”と“温泉”と“紅葉”が三位一体となって、なんとも言えない癒しをくれる場所です。

鳴子グッズが人気上昇中?癒しとインテリアに
鳴子のミニチュアやインテリアが登場
最近では、鳴子の形を模したインテリアグッズやストラップも人気。音を鳴らして癒されるタイプのおもちゃや、木の温もりを活かしたハンドメイド作品も増えていて、おしゃれに取り入れる人がじわじわと増えています。
秋の夜長に、そっと鳴子を鳴らしてみると、不思議と心が落ち着いたりもしますよ。
音で癒す“ASMR鳴子”も登場?
実はYouTubeなどでは「鳴子の音だけ」を録音したASMR動画なんかも存在します。風鈴や木の葉の音に並んで、鳴子の「カランコロン」が「心が落ち着く」と人気。ストレスの多い現代だからこそ、昔ながらの“音”が求められているのかもしれませんね。
まとめ
鳴子は、単なる昔の道具ではなく、今を生きる私たちの心を癒す“音の文化”として再注目されています。
秋という季節は、音が映える時間。そんな中で、鳴子の音は私たちの心の奥にある「懐かしさ」や「安心感」を優しく呼び覚ましてくれます。よさこいの元気なリズムにも、鳴子温泉の静けさにも、共通してあるのは「音で心が動く」という感覚。
この記事を読んで、あなたの秋にちょっぴり鳴子の音を加えてみたくなったら、ぜひ小さな鳴子を手に取ってみてください。祭りでも、旅先でも、おうちでも――その優しい音は、きっとあなたの秋をちょっと特別にしてくれますよ。
鳴子とともに、心温まる秋を過ごしてみませんか?